長年の「好き」が形に。
自分の手で素材を探し
団地リノベを満喫!

神戸市須磨区・高倉台団地
Kさま邸

海岸沿いの街の坂の上にあり、広い空と緑に囲まれた高倉台団地。今回お話をうかがったKさんは、いずれは県内のご実家に移り住む可能性がありながらも、団地の1戸を購入し、ご自分の「好き」がたくさん詰まったリノベーションを低予算で実現しました。以前から建築やインテリアが大好きだったというKさんが団地リノベを決心し、完成するまでのこだわりポイントをお聞きしました。

低予算の団地リノベだから
憧れの「家づくり」がかなった

もともと、今住んでいるこの部屋に賃貸で暮らしていました。大家が友人で、
「買ってほしい」と言われてはいたのですが、いずれは県内の主人の実家へ引っ越す可能性があり、買うつもりはありませんでした。

子どもの進学の都合で、しばらくは主人だけが単身赴任で実家に帰ると決まったときに、ふと「この先、自分の思うように家をつくるチャンスはないのか」と思って。でも私、学生の頃から建築やインテリアがすごく好きなんです。何千万とお金をかけずにできる「団地リノベ」に、魅力を感じるようになりました。

以前からファンだった別のリノベ会社さんに相談することも考えたのですが、費用面が課題でした。興味本位で行った団地リノベのイベントでフロッグハウスさんと出会い、「低予算でここまでできるんや」と。後に担当となる笹倉さんと話をするうちに、「この人なら、私のイメージを形にしてくれるかも」と思い、フロッグさんにお願いすることにしました。

住宅ローンに物件代とリフォーム代を組み込めるという話を聞き、フロッグさんに銀行を紹介してもらいました。主人の定年までに完済できて、これまでの家賃とほぼ同じ金額でおさまったのが、一番の決め手でした。

とにかくこだわったディテール
自分で探したイメージどおりの素材

キッチンや床材などのディテールは、一般的には工務店さんに「この中から選んでください」と提示されるそうですが、私はこだわりがあるので、自分で動いて勝手に見つけていました(笑)。雑誌やインスタグラムで簡単に情報が見つかるので、「これを使いたいです」とイメージを伝え、サンプルを取り寄せてもらいました。


【キッチンに使ったタイルは、インスタグラムで見つけて気に入ったカフェで使用しているものと同じメーカーのものをチョイス。色味を悩みましたが、選んだもので大満足。】

一番お金をかけたのはキッチン、次に床です。キッチンは、「ホーロー製のものにしたい」とずっと思っていたので、そのつもりでお目当てのメーカーのショールームへ見に行き決めました。床には、絶対に無垢材を使いたくて。笹倉さんは私の希望に合わせて、尼崎の物件や芦屋のショールームまで、実物を見せに連れて行ってくれました。


【フローリングには、節のある無垢材を使ったものをチョイス。予算を抑えるため、リビングとダイニングだけフローリングにし、他の部屋はじゅうたんにしました。】

間取りはほとんど変えていません。冷蔵庫の奥行きとキッチンのスペースが合っていなかったので、そこはサイズを揃えるために、玄関とキッチンの間の壁の位置を変えました。玄関側が暗くなるので「明かり取りにどうですか」と提案いただいた小窓を取り付けたのですが、この窓も、自分でネットでアンティークのものを探したんですよ。


【玄関とキッチンの間の壁には、明かり取りになるアンティークの小窓を取り付けました。】

施工はすべて任せて
素材選びをとことん楽しんだ

DIYでやれば、もっと低予算になるとは知っていましたが、住みながら時間をかけるのは現実的ではないと思い、工事はすべてお任せし、素材を選ぶことに注力しました。自分で考えたり探したりするのが、本当に楽しかったです。主人も「好きにしていいよ」と言ってくれて。

子どもたちは、それぞれ自分の部屋のクロスとじゅうたんを選びました。お姉ちゃんは「私の部屋、クロスとじゅうたんしか変わらんやん」と文句を言いながらも、引き渡し後に早速お友達を連れてきていましたし、息子は新たに自分だけの部屋を手に入れたので、とても喜んでいます。


【お姉ちゃんが自分の部屋のクロスに選んだのは、シックなレンガ調のもの。】

工事期間を含め2ヶ月の間は、近くの公団住宅を借りて住んでいました。駐車場の場所は変わらなかったので、車に乗るついでに現場をのぞいては、「今日はここが変わってる!」と、進捗をチェックするのが毎日の楽しみでした。完成後は、「もう終わってもうた…」と、寂しくなるほどでした(笑)。

気軽にチャレンジできるのが
団地リノベの一番の魅力

最終的に私は実家に移る可能性があるので、いつまで住めるかはわかりませんが、子どもたちのどっちかが住めばいいかな、と思っています。大学に通うにもここからのほうが便利なので。

団地そのものがあとどのくらい住めるのかは不安ですが。団地内で不動産屋を営むおばちゃんが、「この時代のコンクリートは気密性がいいから、築100年まで大丈夫よ」とおっしゃっていましたけどね(笑)

そう考えると、やっぱり金額的な手軽さ・気軽さが団地リノベの一番の魅力だと思います。だからこそ、わが家も思い切れました。担当の笹倉さんは、私の徹底的なこだわりに柔軟に対応してくれて、彼女と一緒に探したり見に行ったりする時間がすごく楽しかったです。始めから好きなテイストの会社さんにお願いしていたら味わえなかった経験かもしれません。


【ベランダからの風景。棟と棟の間隔が広々としていて開放的なところが、Kさんのお気に入り。】

<取材・撮影・文: 村崎 恭子>

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