築約40年の賃貸マンションを
DIYを楽しめるお部屋にリノベ。
常時満室の人気物件に!

今回、「おこのみ賃貸」の事例としてご紹介する「グリーンハイツ松本」は、神戸市垂水区にある築40年ほどの賃貸マンション。現在は6室がリノベーション済み。実は、フロッグハウスオフィスもこのマンションの1室にあります。

この物件の最大の特徴は、入居者さんが自由にDIYできる「フリーウォール」。戸棚をつけたり黒板塗料を塗ったりと、住む人の個性が表れるお部屋です。

「おこのみ賃貸」で暮らす入居者さんの暮らしをインタビューするとともに、オーナー様の思いや、フロッグハウス担当者の施工裏話などを聞いてきました。三者が揃ってはじめて成立する「おこのみ賃貸」の魅力を、それぞれの目線で感じ取ってくださいね。


「グリーンハイツ松本」の外観

<目次>
1.入居者さま「賃貸でリノベを練習できるのが魅力」
2.フロッグハウス「事務所としても居心地が良いです」
3.オーナーさま「お金をかけて若者に響くリノベを」

1.入居者さまインタビュー

古い家を購入してリノベする前に
賃貸で練習できるのが魅力でした

入居者の加納義之さん(リサーチ会社勤務)

シェアハウスを営む友人の影響で、おもしろい賃貸物件を探していました。いつかは古い家を買ってリノベーションをしたいので、「自由にDIYできる賃貸物件で練習ができるのはいいなぁ」と思い、こちらに決めました。

フリーウォールはDIYで黒板に。ガルバリウム鋼板を貼り、その上から黒板塗料を塗っているので、マグネットをくっつけることもできます。特に経験はないのですが、インターネットで調べ、友人たちに手伝ってもらいながらやりました。ガルバリウム鋼鈑を貼るのに2~3日、黒板塗料はみんなで塗ったので2~3時間ほどで完成しました。

壁を黒板にするのは最初から決めていました。家に黒板があることに憧れていたので。黒板ってなんか遊べて楽しいじゃないですか。絵を描く以外にも遊べるようにしたくて、マグネットがくっつくようにしたんです。

カレーを作るのが好きで、そのためのスパイスを黒板にくっつけて収納しています。スパイスって見た目だけではわかりづらいので、名前をチョークで描いて、戻す場所を間違えないようにしてるんです。このオープンキッチンで料理するのはとっても楽しいですよ。

壁以外にもこれから変えていきたいところはたくさんあります。ライトやカーテンも変えたいし、壁も飽きてきたら、ボルダリングをつけてもいいかなぁと。リサーチ会社勤務という職業柄、僕、めちゃくちゃ調べるんですけど(笑)、今はいろんなものを調べているところです。

転勤さえなければ、もう何年か住むつもりです。自分で考えていろんなことができるので、住んで良かったなぁと。将来的に中古物件を買ってリノベしたい人にとっては、トライアルの場としてすごくいいと思いますよ。

お気に入りは床材。リビングのフローリングの太さと、キッチンのタイルの大きさが好きですね。この太さのフローリングって、賃貸ではかなり少ないと思います。自分でDIYするならこのフローリングにしたいと思っていたんですよね。

今後、ライトを備え付けのものから「浮き球」のライトに取り替えようと思っています。ほかにも、自転車を壁に立てかけられるようにスタンドをDIYできないかと、検討しているところです。

2.フロッグハウスインタビュー

「これは絶対おもろくなる!」と。
事務所としても居心地が良くて居座っています。


フロッグハウス代表・清水大介

管理会社さんから紹介され「グリーンハイツ松本」と出会いました。天井裏をのぞかせてもらって、「うわ、広っ!」と。「これはおもしろくなる!絶対いけるで!」とみるみる自信がわいてきて、出来上がったプランと絵を持っていったところ、松本さんも「ええやん、どうぞ」と受け入れてくださいました。

まずは隣り合う2戸からスタートし、うち1戸は事務所として僕たちが借りています。他の部屋と同じリノベをしているので、モデルルームにもなるかと思って。満室になったら出ていく予定だったのですが、居心地がよくて結局ずっと居座っています(笑)

ここの特徴が、1面の壁だけ入居者さんが自由にカスタマイズできる「フリーウォール」。以前から僕らがよく使ってきた要素です。「ある程度は入居者さんの自由に」というのが「おこのみ賃貸」の考え方で、”リノベ:カスタマイズ”の割合は物件ごとに異なります。ここの割合は、8:2くらい。家を探している人に、「同じ間取り・家賃で、自由にできるならこっちの方がお得だな」と思ってもらえるかな、と。

フロッグハウススタッフ・笹倉みなみ

部屋ごとにテイストをちょっとずつ変えています。床材も部屋ごとに違っていて、「男前」「ナチュラル」などバリエーションを持たせているんですよ。

限られた予算内でかっこいい仕上がりにするために、かなり努力しました。中でも工夫したのがキッチン。かっこいいキッチンを買うとめちゃくちゃ高くなるんですけど、お手頃なキッチンの側面に囲いをつけることで、いい雰囲気になりましたね。

モデルルームを兼ねた事務所には、管理会社さんがいろんな物件のオーナーさんを連れてきてくださいます。「ええやないか!」「知らんかったで」と言ってくださる方もいて、ここがきっかけで次の仕事につながっています。松本さんにはとても感謝しています。

こうして思い返すと、「グリーンハイツ松本」には思い出がいっぱいありますね。(笑)


魅力的な高い天井。これだけ梁がきれいに出てるのは「グリーンハイツ松本」ならでは。賃貸でこの天井高はめったにありません。


側面を囲うことでいい雰囲気を醸し出すオープンキッチン。フリーウォールには棚をつけています。

3.オーナーさまインタビュー

ある程度お金をかけて
若者の胸に響くリノベーションをしたほうがいい


オーナーの松本幸人さん

「グリーンハイツ松本」は昭和51年築で、もう40年ほど。このあたりはもともと百姓ばかりだったのが、道路ができて街が開けてきた頃に、みんな一斉に賃貸マンションを建てて。うちもそのひとつですね。

ちょうど平成に入ってから、入居者が減ってきました。山が開けて新しい住宅地が出来ると、みんなそっちに行くようになって。若い人は新しいほうが好きやしねぇ。退居後の部屋の現状維持改装はしていたけど、ニーズには合ってなかったでしょうね。

フロッグハウスさんとの出会いは、2016年の4月に管理会社さんに「こんなリノベーションやる人おんねんけど興味ない?」と声をかけられたのがきっかけです。パンフレットを見せてもらい、「いいんじゃない」と。細かな打ち合わせは管理会社さんにお任せしたので、私は最初と最後だけ。

まさか、あそこまでになるとは思わなかったね(笑)おもしろいなぁと。天井が取れて空間が広くなり、元と比べたらかなり開放感がありますね。あとはやっぱり、台所が印象的かな、オープンキッチンで。若い子はオープンキッチンを選ぶでしょ、あれはいいと思います。改装後、これまでと比べて反応が良くなったと管理会社さんから聞いてますし、今後もああいう部屋は増やしていきたいですね。

同じように、建物はそのままで中を改装しているオーナーは多いです。でも、「うちは金かけへん、かけてもムダ」って人も多い。私は、何年で消化できるかをしっかり考えた上で、ある程度お金をかけ、若者の胸に響くものにしたほうがいいと思いますけどね。

<取材・撮影・文: 村崎 恭子 >